簡易ミスト設置による高温対策
実証の背景・概要
(1) 背景
○ 現状:当管内はきゅうりの産地であるが、定植後の乾燥や、梅雨明け後の高温・乾燥の影響により、雨よけ栽培においても、萎れや葉焼けの発生や、草勢低下が問題となっている。環境制技術の中では、ドライミストの自動制御も研究されているが、導入コストは高額となり、導入は難しい。
○改善方向: ドライミストよりも安価な簡易ミストの導入により、ハウス内の温度・湿度環境を改善する。
(2)実証の概要
○ 導入機材及び面積
簡易ミストノズル:クールネットプロ(ネタフィム)
環境測定装置:プロファインダー(誠和)
実証ほ①制御タイマー:Doバルブ温度センサーセット(T&DCorporation)
実証ほ面積:5a、定植日:令和3年4月30日、令和4年5月1日
実証ほ②制御タイマー:細霧冷房オートレイン(スナオ電気)
実証ほ面積:8.6a、定植日:令和3年6月20日、令和4年6月19日
○ 技術の概要:ハウス上部に簡易ミストを設置し、定植後から高温期にかけて、晴天時に噴霧を行う。

図1 簡易ミスト設置状況
実証の成果
(1)成果
○収穫前までの時期で特に効果が高く、晴天時、日中平均で気温が2.0~3.0℃低下した(図2)。また日中平均で飽差が4.6 ~5.3g/ ㎥低下し、乾燥状態が緩和された(図3)。
○主枝上段の葉焼け・芯焼けの抑制効果を確認した。
(2)課題
○当実証では病害発生に差はみられなかったが、病害発生の多いほ場では、葉濡れにより病害が拡大する可能性がある。
○ 水分を気化させるためには、ミストノズルからきゅうりまで十分な距離がとれるとよい。軒高の低いハウスでは、距離を確保するのが難しい。
(3)産地への波及効果
○ 今年度、高温により葉焼け・芯焼けが多発したことで、本技術に興味を示す生産者がいた。十分な水源を確保し、自動かん水装置によるかん水ができているほ場では、さらなる高温対策として導入が見込まれる。
(4)次年度の対応
○ 指導会等をとおして、管内での高温対策実証事例として紹介する。農業総合センターでは引き続き次年度も試験が継続されるため、その結果についても生産者・関係機関に周知する。

図2 気温の比較(5月25日)

図3 飽差の比較(5月25日)
実証担当農家・産地より
○ミスト稼働による温度低下は、体感として十分感じられ、特に午後の収穫作業時にハウスに入ると涼しく、作業が楽になった。ミスト噴霧により、側枝の発生が良くなったと感じた(実証担当農家より)。
○主枝の伸長速度は、ミスト区の方が早いという結果は得られたが、収量差としては当実証では確認できなかった(実証担当者)。