LED電球と太陽光移動式蓄電装置を用いた 電照栽培によるキク類の8月盆需要期安定出荷

令和7年度 県中農林事務所田村農業普及所

実証の背景・概要

○電照栽培:夜間電球を点灯して花芽分化を抑制し、適期消灯することで花
芽分化を誘導し計画的に開花させる栽培方法により単価の高い需要期の出
荷が可能となる。
○LED電球:従来電照栽培で使用されていた白熱電球よりも省電力で長寿
命。これにより電照栽培の継続と光熱動力費の削減を図ることができる。
○太陽光移動式蓄電装置:ソーラーパネル,バッテリーユニット、制御ユニット
で構成し軽トラックで運搬可能(写真1)。これにより固定電源のない圃場でも
電照栽培が可能となる。


写真1. 太陽光移動式蓄電装置

 

想定する普及対象

○品目及び作型:キク類の8月盆出し作型 ○生産者:8月盆需要期に安定して出荷をしたい生産者
※太陽光移動式蓄電装置は、山間部で電源確保が困難な生産者

 

実証の概要

(1)背景・目的
〇製造終了となる白熱電球からLED電球への移行と、山間部の電源確保が課題である。
〇省電力なLED電球の導入と太陽光移動式蓄電装置を電源とする電照栽培により8月盆需要期安定出荷の継続と普及が期待される。

(2)方法
〇R3~5年度は光源としてLED電球3種類(赤色、 ピンク色、電球色)を用い、R6、7年度は需要期出荷が可能で安価な電球色LED電球と太陽光移動式蓄電装置を用いて8月盆需要期の出荷量を調査した。電照時間は固定電源は6時間(23~5時)、太陽光移動式蓄電装置は消費電力を抑えるため4.5時間(23時半~4時)とした。

(3)成果
〇電球色LED電球による電照栽培では、8月上旬の最も需要のある期間に全て出荷された(図1)。
〇太陽光移動式蓄電装置による電照栽培では、気象の影響により延べ47時間程点灯しなかったため固定電源よりやや出荷ピークが前進したが、ほぼ8月盆需要期に出荷できた(図2)。

          

図1. 電球種類別の出荷割合(%)(R5「精こまき」)      図2. 電源別の出荷割合(%)(R7「精こまき」)


4)産地への波及効果
○生産者がより安価で効果のあるLED電球 を選ぶようになり、電照栽培の約8割がLED電球となった。

 

前提条件

○栽培面積 コギク 8月出し 1.8a
○栽植様式 1,000本/a
○電照方法
・電灯設置 3m×3m
高さ 成長点から約1.5m以内
・点灯時間
①固定電源 6時間(23~5時)
②太陽光移動式蓄電装置
4.5時間(23時半~4時)
・電照期間
挿し芽(3月中旬)~6月上中旬(品種による)
○太陽光移動式蓄電装置による電照可能面積
装置の満充電時における使用可能時間は
200W機器接続時約6時間であるため、電照
面積は約1.8a(8WのLED電球を25個計200
W使用)とし、点灯時間は4.5時間とする。

 

主な導入コスト

○電照栽培に必要な資材(1a)      ○太陽光移動式蓄電装置を導入した場合

経営モデル

技術導入のメリット

○電照栽培により需要期に出荷できる。
○製造終了となる白熱電球からLED電球に変えることで電照栽培を継続できる。
○電源を確保するのが難しい圃場でも太陽光移動式蓄電装置により電照栽培を導入できる。

技術導入の注意点等

○太陽光移動式蓄電装置を導入する時は、電球の消費電力を確認し電照面積を決定する。稼働を安定させるためにソーラーパネルの設置場所に注意し、充電量を随時確認し必要に応じ充電器を使用する。バッテリーおよび制御ユニットは風雨に当たらないように設置する。リチウムバッテリーは8年程で交換する必要がある。
○品種により電照反応が異なるため、電照に使用する品種は、電照反応がよく花芽分化後の高温の影響を受けにくい品種を選定する。