プラウ耕・グレーンドリル播種体系による乾田直播栽培
実証の背景・概要
○「プラウ耕・グレーンドリル播種体系」とは耕起にプラウやスタブルカルチ等を使用し、大規模畑作で使用され高速作業できる播種機「グレーンドリル」を用いてほ場に直接播種する水稲の乾田直播栽培である。
○播種作業を高速で行うことができるほか、播種後に鎮圧を行うことで、直播栽培で重要な安定した苗立ちを得ることが可能である。
○土壌表層を鎮圧することで漏水を防ぎ、移植栽培では不可欠な土壌下層の耕盤層が不要であることか
ら、ほ場の排水性が改善される。また共通する機械を有効活用しながら畑作物との輪作体系をとるこ
とができる。


図1. プラウによる反転耕 図2. グレーンドリルによる播種作業
想定する普及対象
○品目及び作型:水稲 乾田直播栽培
○生産者:春作業(育苗・代かき・田植え)が経営規模拡大の制限要因となっている生産者
実証の概要
(1)背景・目的
○農業者の避難長期化により限られた担い手が水稲作付を行っている被災地では、播種や田植え作業が春先に集中し、規模拡大上の課題となっている。
○乾田直播栽培を導入することで、育苗や代かき作業の省力化と作期分散が期待される。
(2)方法
○水稲作付面積56㏊の農業法人に、プラウ耕・グレーンドリル播種体系乾田直播栽培を導入してもらい、経営に係る収入経費と、労働時間を調査した。
(3)成果
○春先の労働時間の削減と作期分散により経営規模の拡大に繋がった。
(4)産地への波及効果
○同体系を経営に組み入れる経営体が増加している。畑作物にも機械を利用できるため、小麦との輪作体系に取り組む生産者がいるなど、普及と技術の定着が図られている。
○相双地域乾田直播栽培面積:R3 130㏊→R7 373㏊


図3. 春作業時間 図4. 播種現地検討会
実証担当農家・産地より
○従業員3名で約60㏊の水稲生産を実施するため、乾田直播栽培を組み入れた作期分散が可能となる。また、冬季のほ場準備など、従業員の作業の創出にも繋がっている(実証担当農家)。
○乾田直播に導入した機械の畑作物への汎用利用や、乾田直播向け水稲多収品種の導入により、経営面でのメリットが大きい。
前提条件
○経営面積
・移植栽培+乾田直播 70ha
うち 移植栽培 30ha
乾田直播 40ha
・移植栽培 体系 60ha
※春季繁忙期に常時雇用3名で作業可能な面積
を想定。
○常時雇用 3名
○栽培方法
・品種は「天のつぶ」
・移植栽培の苗は面積の半分が購入苗
・肥培管理 N成分:10kg/10a
・単収は地域慣行(R3県経営類型)
移植510kg/10a、直播460kg/10a
○生産物単価
令和3~7年の販売単価のうち、最も高かっ
た年次と安かった年次を除く3カ年平均。
主な導入コスト 経営モデル
○技術に取り組むにあたり必要な機械例


技術導入のメリット
○3月下旬から播種が可能なため、作期分散を図ることができる。移植や湛水直播と組み合わせることで、経営規模拡大を図ることができる。
○育苗に係る種苗費や諸材料費を削減出来る。また、育苗や移植作業が省略できるため、春先の労働時間を削減できる。
○代かきを行わないため圃場の排水性が損なわれず、また機械の汎用利用が可能なため、畑作物との輪作体系が構築できる。
技術導入の注意点等
○乾田直播栽培を取り組むに当たっては、ほ場選定が重要になる。排水不良田では出芽不良に、漏水田では、肥料・農薬の流亡による生育不良につながるため、ほ場によっては対策の実施が必須である。東北農業研究センター作成の、「乾田直播栽培技術マニュアル」を参照して栽培に取り組むこと。