水稲育苗ハウスを利用したブドウ栽培導入による収益性の向上
実証の背景・概要
(1) 背景
○現状:米価下落等により影響を受けている稲作農家の経営安定のため、園芸品目等新規部門との複合化により所得向上を図る必要がある。
○改善方向:水稲作業との競合が少なく、消費者ニーズが高い大粒系品種のブドウを、既存の水稲育苗ハウスに導入し、園芸部門との複合化による経営規模拡大により、稲作農家の所得向上を図る。
(2)実証の概要
○導入機材及び面積
実証面積:5a (5.4m×40mの水稲育苗ハウス2棟)
導入機材:果樹棚、防虫網(赤色0.8mm)
導入品種:「シャインマスカット」8本
「BKシードレス」2本
「バイオレットキング」2本
○技術の概要
・防虫網と水稲育苗ハウスによる雨よけ栽培により、農薬散布回数の削減を図る。
・樹形は、短梢せん定オールバック1本主枝とする。短梢せん定はせん定や新梢管理方法が容易であるため、新規栽培者でも管理しやすい方法を採用する。

図1 水稲育苗ハウスを利用したブドウ栽培の様子(8月17日撮影)

図2 栽培マニュアル
実証の成果
(1)成果
○令和4年度以降「シャインマスカット」及び「BKシードレス」を直販(1,300円/kg)するとともに、導入経費が抑えられたため、所得が向上した(表1)。
○ 「BKシードレス」は3年目で平均605gのほぼ成園並みの大房が収穫でき、育苗ハウスを活用したブドウ栽培において早期成園しやすい品種といえる。なお、「シャインマスカット」は、5年目で400g程度の品質の良い房が安定して収穫できるようになった。
○有色果実袋の使用で育苗ハウスにおけるシャインマスカット栽培において収穫期を5~10日程度分散させることができ、稲刈り作業との競合の発生を回避できると考えられる。
(2)課題
○高温障害により日焼け果や縮果症が発生し、商品率が80%程度で頭打ちとなっている。
(3)産地への波及効果
○栽培マニュアル(図2)の活用と現地検討会(図3)の開催により、実証技術の導入戸数及び面積は増加している。
(4)次年度の対応
○引き続きカサ掛けや換気、かん水の実施により商品率向上を図る。

表1 実証ほの成果について
実証担当農家・産地より
○育苗ハウスの活用で導入コストとランニングコストが抑えられる点が良い。摘粒技術をさらに磨いていきたい(実証担当農家)。
○収益性が高い大粒系ブドウ栽培の関心が高まっている(産地)。