ブドウの根圏制御栽培等における早期成園化と省力化
実証の背景・概要
(1) 背景
○ 現状
双葉地域では、平成27年から水稲育苗ハウスを利用したぶどうのハウス栽培が開始され、地域全体で153a (令和6年現在)まで拡大した。新たな産地育成のため、生産量増加及び生産効率の向上、果実品質の安定 化が課題となっている。
○改善方向
盛土式根圏制御栽培法を導入し、早期成園化による早期多収、水分量と施肥量の制御による果実重、着色 等の果実品質の安定化、省力化を達成し、産地の規模拡大に貢献する。
(2)実証の概要
○ 導入機材及び面積
導入機材:盛土式根圏制御栽培一式(土、遮根シート、かん水装置等
面積:1.1a (ビニールハウス栽培)
○ 技術の概要
ハウス栽培:ビニールハウスによる雨よけ栽培(水稲育苗にも利用可能)
盛土式根圏制御栽培法:遮根シートで地面と隔離した盛土(培土150L) に定植し、自動かん水により土壌水分を調整
仕立て法:ハウス栽培に合わせ、片側一文字仕立て(短梢栽培)

実証の成果
(1)成果
○「シャインマスカット」の収穫量は昨年度減少したが、今年度は増加が見られ、平年並となった。「BKシードレ ス」は定植後7年目で減少したが、過去2カ年より減少したが、3カ年平均で1,000kg/10aを超えた(表1)。

○製品率は今年度上昇し、3カ年通して80%を超えた(表2)。

○ 自動かん水と置き肥により全体的に労働力が削減された(図2)。

○昨年度より果実肥大期のかん水量を増加したが、生育状況にあまり変化は見られなかった。
(2)課題
○今年度も夏期の高温で葉やけ等が発生した。更なる暑熱対策を検討する必要がある。
○いずれの品種でも果粒肥大が不足した。果粒肥大期のかん水量について検討する必要がある。
(3)産地への波及効果
○ R6年度における導入者が6名となった。
(4)今後の対応
○夏期の高温が要因と思われる解決すべき課題が複数考えられるため、対策について検討する。
○引き続きデータを蓄積し、経年の収量把握に努める。
実証担当農家・産地より
○栽培管理がマニュアル化されているため、初心者でも取り組むことができる。令和5年度から導入面積を拡 大し、より多くの品種の栽培管理を進めていく(実証担当農家より)。