トルコギキョウを核とした花きの周年生産

実証の背景・概要

(1) 背景

○ 現状

福島第一原子力発電所事故によって双葉地域は営農中止を余儀なくされたが、風評の影響が少ない花きの栽培が始まり、特に比較的単価の高いトルコギキョウ の栽培が拡大している。 しかし、秋出荷作型での品質低下(夏季高温による短茎開花等)が課題となって いる。

○ 改善方向

夏秋期におけるトルコギキョウの安定生産を実現させることで、双葉地域の花き 産地としての基盤を強固にし、営農再開を加速させる。

トルコギキョウ作型適応苗
(左下:慣行苗)

(2)実証の概要

○  導入機材及び面積

機材:プレハブ冷蔵庫(1坪)、実証ほ面積:秋出荷作型1a

○ 技術の概要 作型適応苗(本葉2対展開後から一定の温度・光条件で育苗し、発蕾節数を調節した苗)を導入すること で、秋出荷作型における切り花品質の向上が期待される。

実証の成果

(1)成果

○作型適応苗は慣行苗と比べて切り花長、 節数に優れ、上位出荷規格も多くなった。

○切り花長が長かったことから直売所にお ける単価設定を高くでき、売上が向上した。

(2)課題

○直売所出荷は可能だが、市場出荷できる 切り花品質は確保できていない。

(3)産地への波及効果

○近年の高温で秋出荷作型を休止していた直売所出荷者が興味を示すなど技術の 周知が図られてきている。

(4)今後の対応

○導入する作型適応苗の品種数を増やし、 直売所出荷における切り花品質向上効果 を検証する。

開花時の草丈(左:作型適応苗、右:慣行苗)

実証担当農家・産地より

○去年までの秋出荷作型では短茎開花で直売所出荷もできない切り花が多かったが、作型適応苗は切り花長 が長くなり、ほとんど直売所出荷できた。来年は品種数を増やし作型適応苗を導入したい(実証担当農家より)。

○作型適応苗を購入できるようになれば、直売所出荷向けに導入を検討したい。