タマネギの直播栽培による作付面積の拡大
実証の背景・概要
施肥・畦立て成形・播種を同時に実施することにより、 通常2カ月かかる育苗作業と定植作業の時間と労力を削減することが可能となる。
移植栽培と直播栽培で作業時期をずらすことができるため、栽培面積の増加が見込まれる。

想定する普及対象
○品目及び作型:秋まきタマネギ
○生産者:移植栽培から面積拡大を指向するタマネギ生産者
実証の概要
(1)背景・目的
タマネギは震災後の平成27年秋から双葉郡で作付けを開始し、令和3年には南相馬市と併せて「相双」の新規指定産地の指定を受けた。しかし、人手不足や通い農業が多いなどの問題が多く、面積が伸び悩んでいる。このため、直播技術を導入し、育苗の省力化、播種・移植作業の分散化により、作付面積拡大を図る。
(2)方法
○ 導入機材及び面積
整形ロータリ(クボタ)、播種機(アグリテクノ矢崎)、フロントソワー(ジョーニシ)、除草機(キューホー)実証ほ栽培実面積:20a
○直播機によりコート種子を9月下旬に播種し、発芽率(苗立率)・収量・作業時間等を調査。
(3)成果
○移植栽培では、育苗準備から移植まで37hrを要したが、直播栽培では播種作業が1hrで完了した。 一方、手取除草が必要となり、14hrを要したため、全体の作業時間は47.5hrとなり、移植栽培に比べて22%の削減となった。
○発芽率及び播種1ヶ月後の苗立率も9割程度確保しており、技術の定着が見られる。
(4)産地への波及効果
○主に大規模生産者で導入が進んでいる。


実証担当農家・産地より
○生育初期の除草管理が重要。直播で使用できる除草剤の登録が少ないため、現状では一部手取り除草が必要。除草剤の登録拡大を要望する(生産者より)。
○育苗の手間が無いため、その分の負担感は少ない。しかし播種適期が9月下~10月上までであり、天気や圃場条件が整わないと作業ができない。
〇移植栽培に比べ、砕土率や均平が発芽率に大きく関わるため、丁寧な耕うんが求められる。(生産者より)
○直播は、圃場条件が整い、天候が良ければ、省力的であるため規模拡大の可能性はある。一方、移植に比べ初期生育が安定せず、欠株が生じやすいため、収量確保が難しい。
○直播・移植にかかわらず、収量確保のためにはベと病をはじめとした病害虫対策を確実に講じる必要がある。
前提条件
○想定の経営
栽培面積:直播5ha 移植5ha
○栽培方法
栽植様式:25000本/10a
移 植:購入苗使用、11月上旬定植
直 播:コート種子使用、
9月中旬~10月上旬播種
収 穫:5月下旬~6月下旬
圃場乾燥後選果場へ直接搬入
主な導入コスト
○直播に必要な機械一式(例)

経営モデル


技術導入のメリット
○移植作業と直播作業の時期が
重ならず、 移植栽培に取り組む
生産者による面積拡大が可能。
○移植栽培のみの所得は273万円
であるが、直播栽培を取り入れ、
面積を拡大することで、472万円
まで向上。

技術導入の注意点等
○排水性の良い圃場を選び、耕盤破砕や明渠を設置するなど排水対策を講じておくこと。
○水分条件が適正な状態で播種を行う。また、圃場乾燥状態でも播種作業ができるように、散水設備を備えるのが望ましい。
○確実に発芽させるために、播種前に十分に耕耘し、圃場表面の土を細かく整え、均平にしておく。播種深度は2cm程度に保つこと。
○9月中旬から10月上旬頃の播種適期に播種作業を行うこと。長雨等により、適期に播種ができなかった場合であっても、天候やほ場条件を見ながら、遅くとも10月中旬までに播種作業を完了すること。
○特に生育初期の除草を確実に行う。直播に使用できる除草剤が少ないので、必要に応じ手取り除草・機械除草を適切に実施すること。
○防除暦を参考に、ベと病始め各種病害虫の防除を確実に実施すること。
○移植・直播に係わらず、必要に応じ、輪作や夏期湛水処理を行い、ベと病の被害を減らす対策を取ること。