ぶどうの根圏制御栽培及び V字型2段仕立てによる早期成園化と省力化
実証の背景・概要
(1)背景
○ 現状:ぶどうは棚栽培が前提で栽培技術の要求度も高いことから、新規栽培者の確保が難しい。一方、既 存生産者は、現状の栽培規模を維持しながら単収と品質の向上を図っている者が多い。そのため、 産地としての規模拡大が難しい。
○ 改善方向:盛土式根圏制御栽培による老木園の改植促進と 早期成園化、早期多収、省力化、果実品質向上
(2)実証の概要
○ 導入機材及び面積
灌液管理システム(灌水装置2液4系統25A)、Y字パイプ棚、 雨よけアーチパイプ、10a
○ 技術の概要
・根域制限(盛土:150L/樹、樹間3.0m×列間3.0m)と養液管理 システムによる灌水と施肥を制御
・Y字棚によるV字型2段仕立て(オールバック型整枝)の短梢栽培

実証の成果
(1)成果
○ 定植2年目(令和2年)から収穫でき、定植3年目以降 慣行成園相当の収量を確保できた。着色向上のため着 果量を制限した安芸クイーンの収量は少なかったものの、 安芸クイーン以外の品種の収量は概ね2,000kg(/10a) となった(表1)。

(2)課題
○ 着色系の品種は着色不良がみられた(図2)。7~8月の 高温、着果過多等が影響したと考えられ、天候に応じた対 策、着果量の調整が必要である。
○ 安定した生産のため、品種ごとに着果量や栽培管理を変える必要があり、品種に応じた管理を検討する。

(3)産地への波及効果
○ 定植後3年目には慣行栽培の成園相当の収穫が可能となり、 作業動線が単純化されることによって、新規栽培者が導入 しやすくなる。
○ 令和6年現在、10件の生産者が合計126aで取り組んでいる。
(4)次年度の対応
○ 高温時、多雨時にはかん水量を適宜調整し、安定生産を 目指す。
実証担当農家・産地より
○ 樹形ができてきて良い品質の果実が結実し始め、収穫量も増えた。上段は作業負担が軽く作業面で省力化 できるが、下段は作業しづらいなど、今後改善すべき部分があると思う。今後も継続して生育を見ていきたい (実証担当農家より)。