いちごの複合環境制御による安定生産

実証の背景・概要

(1) 背 景
○ 現 状
伊達地域は、県内最大のいちご産地である。平均単収は3.5t/10a程度で、とちおとめの主要産地の平均単収5t/10aの7割程度となっている。また、いちご生産者93名のうち、20名に環境測定装置が導入されたものの、環境測定結果と連動したハウス管理が実施できておらず、単収が向上しない例がみられる。
○ 改善方向
環境測定装置と連動したハウス管理を可能とする複合環境制御装置を導入し、ハウス管理作業の省力化及び単収の向上を目指す。

(2)実証の概要
○ 導入機材及び面積
導入機器:複合環境制御装置プロファインダーNext80(㈱誠和。)
実証ほ面積:7a(実証区3.5a、慣行区3.5a)
○ 技術の概要
ハウス内の環境データ(温度、湿度、CO2濃度等)を測定しつつ、いちごの生育に適切なハウス内環境とするため、各種機器(暖房、CO2発生機、換気、保温カーテン等)を自動で制御する。

実証の成果

(1)成 果
○ 実証区の単収は、慣行区比で令和2年度は102%、令和3年度は104%、令和4年度は102%、令和5年度は101%であった。月別では3~5月が多かった(図3)。
○ 機器導入前の5年間の平均単収は5.6t/10aであり、導入後4年間の平均単収は5.9t/10aと105%増収した。
○ 実証区では、換気作業の自動化により、手動による換気作業が不要となった(表1)。

(2)課 題
表1 慣行区におけるハウス換気作業時間(時間)
○ さらに単収を向上させるために、生育ステージに合わせた環境制御(温度、湿度、CO2濃度等)の検討が必要である。

(3)産地への波及効果
○ 複合環境制御による増収効果が認識され、環境測定装置を導入している生産者13名により、環境測定装置を導入している生産者13名により、環境測定装置を有効活用した安定生産技術の習得を目的とした研究会「いちごスタディクラブ」が設立され、産地内での技術研鑽が進んでいる。

(4)次年度の対応
○ 生育や収量の経年変化を調査するとともに、取得した環境データを分析し、いちごに最適なハウス内環境の改善につ
なげるとともに、環境に適した栽培管理技術を検討する。

実証担当農家・産地より

○ ハウス内環境データに基づいた管理ができ、安定して高い単収を確保できている。さらに自動化で換気作業が省力化されたことにより、栽培管理に当てられる時間が増加した。(実証担当農家より)
○ 「いちごスタディクラブ」を核として、ハウス内環境データに基づいた管理技術を確立するとともに生産性向上を目指し、取り組む。