ICT技術・省力技術を活用した大規模稲作経営体の育成

実証の背景・概要

(1)背景

○現状:地域農業・稲作の担い手としての組織経営体育成と、規模拡大・経営安定が急務となっている。
○改善方向:省力性・効率性の高い技術やICTを活用した技術を現地において実証し、
新技術を普及するとともに、大規模経営体の育成と規模拡大・経営安定につなげる。

(2)実証の概要

○導入機材・技術及び面積

①ほ場管理システム(スマートアシストリモート営農支援システム) ヤンマーアグリジャパン(株) 28ha
②密播苗(移植) 18ha(移植機は導入済み)
③収量コンバイン ヤンマーアグリジャパン(株) 22ha
④水管理システム パディッチゲート (株)笑農和 5ほ場

○技術の概要

稲作経営・稲作作業の省力・軽労・低コスト化を図るとともに、肥培管理の改善により生産性を高める。

ほ場管理システム画面(収穫量別にほ場を色分け)
水管理システム
収量コンバイン

(1) 成 果

○10a当たり水稲作業労働時間は実証ほで29.3%短縮。
○水稲の10a当たり生産費を9.7%削減。
○10a当たり収量は、密苗移植では、特別栽培コシヒカリ512㎏(ほ場間差±6.3%)、
慣行苗移植では、特別栽培コシヒカリ533㎏(ほ場間差±20.7%)となった。

(2) 課 題

・ほ場管理システムは作業時の登録を習慣化しないと登録漏れになる。
また、収集したデータの活用方法を組織としてあらかじめ、しっかり決めておく必要がある。
・収量コンバインはほ場ごとに収量データが分かり便利であるが、データエラーがやや多く、活用しにくい。
・水管理システムは導入時の費用が高く、安価なシステムが望まれる。

(3) 導入による産地への効果

○密苗や水管理システムは稲作作業における大幅な省力化や軽労化の効果が期待できる。
○ほ場管理システムはほ場ごとの栽培管理情報の共有化や労務管理に役立ち、組織経営体の運営に有効であると思われる。
○稲作作業の省力化により、一層の規模拡大や経営の多角化の可能性が生まれる。

 

ほ場管理システム入力の様子
水管理システムを導入した場合の10a当たり水管理作業時間

 

実証担当農家・産地より

○密(播)苗は軽労化や労力削減効果が大きく、特に女性社員の評が高い。田植の補助作業者が少なくてすむ。令和2年から主食用品種は全面的に導入する。
○水管理システムは、ほ場が広範囲にある場合、遠方のほ場の水管理に有効である。
○ほ場管理システムは、社員の習熟度を高めながら活用していく。
○ICT技術を活用し、生産性の向上や経営管理の合理化につなげていく。