遠隔監視システムによる果樹生産の安定化
実証の背景・概要
(1) 背景
○ 現状
春先の凍霜害による初期着果量の低下、 夏季の 高温少雨による干ばつ等を要因として、ここ数年、果実の 生産量や品質の年次変動が大きい。
○改善方向
比較的安価で設置 できる「通い農業支援システム 」を活用して、園地の温 湿度・土壌水分 を リアルタイムで 測定することで 、かん水時期や凍霜害発生リスクの高いタイミングを把握し 、果実の収量増加・ 品質向上対策及び春先の 霜害対策 に 役立てる。
(2)実証の概要
○ 導入機材及び設置場所
機材:通い農業支援システム
場所:管内5カ所( 須賀川市2カ所 ・ 鏡石町・玉川村・石川町)
○ 技術の概要
・生産者が安価に製作でき、スマートフォンで温湿度・土壌水分といった園地状況を確認 できる IoT 技術。これにより、土壌水分からかん水時期を、気温から凍霜害発生リスク等 を把握して、果実の収量 増加・品質 向上や、霜害対策といった面で役立てる。

実際に製作したシステム
実証の成果
(1)成果
○ 1機当たりの価格が 15 万 円程度となり、 既製品と 比較し5万円ほど安く用意できた。また、講師の補助を受けながら、農業者が 園地の温湿度を計測可能な 機械を自作することができた 。

ワークショップの様子
(2)課題
○一部センサや固定具など機材の組み立てが終わっていない。デモンストレーションで設置した場所以外の園地への設置が終わっていない等、生産者への機材設置支援が必要である。
○今後本格的にシステムの運用を開始するにあたって、運用面、技術面での支援をする必要がある。

設置した機材
(3)産地への波及効果
○「通い農業支援システム」が、凍霜害対策や栽培管理等に利用できることや、農業者が園地の状況を計測できる機械を自作できたことを周知することで、他の農業者の「通い農業支援システム」への関心を高め、情 報共有メンバーへの加入やシステムの導入希望者の増加が期待できる。
(4)今後の対応
○生産者へ機材設置支援や相談対応などのフォローアップを行い、園地から収集した情報を確認できる体制 を整える。
実証担当農家・産地より
○ 園地の温湿度・土壌水分を園地に行かなくても確認できることは、園地状況に合わせて持って行く機械をあらかじめ準備できる点で作業の省力化にも繋げられると考える。
○今まで凍霜害が無かった地域でも近年凍霜害が出ているため、防霜ファンが無い園地での防霜対策に活 用したい(実証担当農家より )。