トマトハウスにおけるクラウド連携型環境制御システム 導入による安定生産
実証の背景・概要
(1)背 景
○ 現 状
当地域は県内で有数の夏秋トマトの産地であるが、高温による収量の減少や、人手不足・高齢化の影響により産地の維持が課題になっている。安定生産を図るためには、トマトの生育に好適な環境を作り出すことを目指し、環境測定を行い、データに基づいた高温対策資材の利用方法及び、かん水・追肥管理を検証する必要がある。
○改善方向
管内の夏秋トマトを栽培するパイプハウスに、クラウド連携型環境制御システムとかん水同時施肥装置(自動かん水装置+液肥混入機)、土壌水分センサ-、流量計を導入し、管理の省力化と生育及び収量の安定化を図る。
(2)実証の概要
○ 導入機材及び面積
環境制御装置:
・Arsprout(センサー:温湿度、土壌水分、日射)
・ドサトロンDR09GL(液肥混入機)、流量計、土壌水分計
○ 技術の概要
環境制御装置と遮光資材、かん水同時施肥装置を連動させ、環境に応じて自動制御することで、作業の省力化と、生育・収量の向上を図る。
実証の成果
(1)成 果
○ 近年、高温乾燥が顕著であり、その影響で、管内全域で花落ちや花飛びが発生し、夏季の出荷量減少の要因となっているが、実証ほの4ヶ年の平均単収量は、管内平均比で140%となった(図2)。
○ 現地検討会や指導会、実績検討会で、生産者、JA、市町村に対して導入技術の内容や成果について提示し、推進することができた
(図3)。
(2)課 題
○ 日射量に応じた遮光幕の自動開閉や、かん水、施肥の自動制御については、トマトに適した設定値を随時検討し、栽培管理に反映していく必要がある 。
(3)産地への波及効果
○ 管内では、若い生産者を中心に本技術に関心を持ち、毎年、新規で環境測定装置やかん水同時施肥装置が導入されている。
(R6の環境測定装置の導入率6%、かん水同時施肥装置の導入率24%)
(4)今後の対応
○ 費用対効果や、補助事業の活用事例等を提示しながら、継続的に技術を紹介し、産地への導入推進を図る。


実証担当農家・産地より
○ かん水の自動制御については、省力化に繋がったと実感している。出先からハウス環境を確認したり、かん水や遮光幕を操作でき、精神的負担が軽減された(実証担当農家より)。
○ 若手生産者を中心に環境測定・御装置、かん水同時施肥装置への関心が高まっている。4ヶ年で、環境測定・制御装置4件、かん水同時施肥装置20件が新たに導入されており、今後さらに普及する見込みである。