なしのジョイントV字トレリス栽培の導入による早期成園化と省力化

実証の背景・概要

(1) 背景

○ 現状

管内 のJA福島さくらいわき梨部会では、生産者の高齢化により生産者戸数や面積が大幅に 減少 している 。また 、多くの生産者は後継者がいないため改植が進んでおらず、老木化した園地の 生産性の改善 が 大きな 課題 となっている。

○改善方向

革新的技術である「なしのジョイントV字トレリス栽培」の実証ほを 設置し 、 園地の生産性や作業性の向上を実証し、いわき管内への当該技術の普及を図る 。

(2)実証の概要

○ 導入機材及び面積

令和2年3月に実証ほ設置

ジョイント V 字トレリス用梨棚(5a )
ロング 苗木( 90 本、樹間 1.5m)
優良中晩生品種(豊水、あきづき、甘太 )

○ 技術の概要

従来の平棚栽培に比べて主枝を低くし、側枝を斜立させ、作業動線や作業姿勢を改善できる。ジョイントV字トレリス栽培は、従来の技術と比較して早期成園化と省力化が期待されている 。

○ 現地検討会の開催関係機関や生産者に対して技術の概要、導入効果について周知し、地域への波及を図った 。

実証の成果

(1)成果

○作業動線が直線状となり、摘果・収穫・せん定等の作業効率が向 上し、実証ほでは作業時間が4割程度削減した。

○通常8年かかるところ、「あきづき」、「甘太」では定植5年目で概ね慣行栽培程度の収穫量を達成した。

「豊水」: 841kg/10a
「あきづき」: 1,764kg/10a
「甘太」: 2,419kg/10a

(2)課題

○ ジョイントV字トレリス栽培に適した摘心やせん定等の技術が充 分に確立していないところもあるので、実証をしながらの確認が 必要である。

○収穫量を安定・維持させるための側枝確保対策が必要である。

(3)産地への波及効果

○ジョイント栽培は初年目のR2年に5 a 、 R3年には32 a となり、 R6には197 a まで拡 大した 。

○現在7戸で取り組んでおり、今後10戸に増える見込み。

(4)今後の対応

○品種ごとの収穫量及び果実品質について調査する。

○側枝確保の方法を検討する。

○作業の省力性について継続して調査する。

実証担当農家・産地より

○慣行栽培より省力化が可能なため、優良中晩生品種で実施し、園地の規模を拡大させていきたい(実証担当農家)。

○棚を自作すれば段階的に組み立てられ、設営時期や労力を分散でき、初期投資を抑えることができる(産地)。

○今後もいわき地域において導入面積が増える見込み。

 

他地域での実証成果(県北)

他地域での実証成果(相双)