プラウ耕・グレーンドリル播種体系による乾田直播栽培技術
実証の背景・概要
(1) 背 景
○ 現 状
農業者の避難の長期化や高齢化により、限られた担い手が大規模に水稲生産を実施している。移植栽培や湛水直播栽培を主に行っているが、育苗や代かき、田植え等の春作業の集中を回避するため、乾田直播栽培が導入されている。
しかし、生育期間中の漏水により除草効果や生育量の低下が見られることが課題となっている。
○改善方向
冬期に代かきを実施することで漏水対策がとれ、生育量確保につながるか検証する。
(2)実証の概要
○ 導入機材及び面積
導入機材:ドリルシーダー(スガノ)、ケンブリッヂローラー(スガノ)、溝掘機(スガノ)、自動操舵システム(ニコン・トリンブル)
○ 技術の概要
冬期~初春にかけてほ場準備(耕起・播種床造成等)を行い、3~4月に本田に直接種籾を播種する技術体系で、ロータリー耕や代かきを行わないことから高速作業が実施できる。播種前後の鎮圧作業により漏水や苗立ちの改善が期待される。
自動操舵システムの導入により非熟練者でも高い作業精度が確保できる。

実証の成果
(1)成 果
○収量は、代かき実施区で234kg/10a、代かきなし区で288kg/10aとなった。
○労働時間は、9.4時間となり、移植栽培を2.4時間下回った。
○ほ場準備、播種作業が4月上旬までに実施でき、作業期間の分散が図られた。
(2)課 題
○砂質土壌では鎮圧回数安定した収量を確保しにくい。
(3)産地への波及効果
○育苗や代かき作業の省力化及び農閑期の活用による作業期間の分散により、経営規模の拡大や生産性の向上が期待できる。
(4)今後の対応
○ほ場選定が重要であることを周知する。
○収量確保に向け、漏水対策として冬季代かき実施の検証の継続と、肥培管理の見直しを実施する。


実証担当農家・産地より
○育苗や代かき等の作業が省力されたことで労力軽減が図られたとともに、耕起・播種等の作業を前倒しにすることで、田植え作業を余裕をもって行うことができた。(実証担当農家より)
○令和6年度より、相双管内(富岡町、浪江町)で新たに2経営体が乾田直播栽培の取組を開始した。