ぶどう根圏制御栽培+V字2段仕立てによる早期多収と高品質化
実証の背景・概要
(1) 背景
○ 現状
ブドウは優良品種が次々と誕生しているが、改植に伴う 未~低収益期間が長く、品種更新の妨げとなっている。消費者の嗜好は皮ごと食べられる種なし品種にシフトしているが、裂果が多いなど栽培上の課題がある(写真1)。

○改善方向
早期成園化により、優良新品種の導入を加速させる。精密な養水分管理により、裂果を軽減させる。
(2)実証の概要
○ 導入機材及び面積(写真2)
根圏制御栽培システム(自動かん水装置を含む) V字トレリス棚、雨よけ施設約9a(令和元年5月定植)

○ 技術の概要
遮根シート上の盛土への定植と自動かん水装置を組み合わせた「根圏制御栽培」により、樹体生育や果粒肥大を 管理する。また、「密植」と「V字型2段仕立て」の組み合わ せにより、早期収穫開始及び多収を図る。
実証の成果
(1)成果
○早期成園化及び多収栽培(表1)
定植2年目で慣行栽培の成園並みの収量を確保 できた。その後の収量は慣行より2~5割多く確保できた。

○高品質栽培
果粒肥大及び着色が良好だった。施肥量を増やしたところ、裂果しやすい「ナガノパープル」で裂果率が高くなった(表2)。

(2)課題
○かん水設備の故障やかん水・施肥の設定の誤りが致命的となるため、こまめな確認が欠かせない。 ○本方式は年数が浅く、経済樹齢の知見がない。
○初期投資額が大きく、資材高騰の影響も大きい。
(3)産地への波及効果
○ 現地検討会や視察受入れを通じ、本栽培方式 への理解は広まっている。
○本栽培方式の栽培面積も年々増加している。
(4)今後の対応
○収量や果実品質の経年変化を調査する。
○地域における本栽培方式の導入推進や導入者への技術支援を行う。
実証担当農家・産地より
○栽培6年目となりやや樹勢が低下してきた。樹勢を維持するような管理が重要と感じる。
○収量の多さには満足している。また、裂果しやすい品種も安定生産が期待できる。(以上、実証担当農家)