大規模稲作経営体における水田水位センサーを 活用した水管理作業軽減の実証
実証の背景・概要
(1) 背 景
○ 現 状
喜多方管内では農業者の高齢化、担い手の減少が進んでおり、大規模稲作経営体への農地の集積・集約化が一層求められている。
一方で、大規模化による水田エリアが拡大する中、離れて点在する水田が増え、見回り等水管理の労力負担が大きく、
省力化技術の導入が喫緊の課題となっている。(図1)
○改善方向
省力化技術として水田水位センサーを活用した水管理作業の軽減を実証し、地域への技術導入の足がかりとする。

(2)実証の概要
○ 導入機材及び面積
導入機材:水田水位センサー(株式会社farmo製:水田ファーモ)(図2)
導入面積:30a×5ほ場(喜多方市熱塩加納、慶徳、関柴、塩川、 実証担当農家の水田面積約63ha)
○ 技術の概要
水位センサーを設置すると、水田の水位をスマートフォンで確認することができる。
電源:ソーラーバッテリーのため無料、通信費:無料、設置は簡単な施工のみ。

実証の成果
(1)成 果
○ “朝イチ”で離れた水田の水位を確認することができ、その日の水の見回り作業を効率的に進めることができた。(図3、4)
○入水時に水位上昇のスピードを確認することができ、止水のタイミングをスマートフォンを見て決めることができた。
(2)課 題
○ 初期費用として1台当たり33,000円(本体価格のみ)かかるため、効果を明らかにし、
経営体に合わせた導入台数を検討する必要がある。
○耐用年数は5~7年で、メンテナンスは不要だが、バッテリーの寿命は約3年で、交換には費用がかかる。
○通信エリアが限られるため通信基地局を設置し、通信エリアを拡大する必要がある。
(3)産地への波及効果
○ 大規模稲作経営体における水管理作業の軽減技術として導入を見込める。
○会津地方革新技術実証協議会、会津地方指導農業士会研修会での事例紹介
(4)今後の対応
○水管理作業軽減効果の数値化
○育苗プールの水位確認への活用
○通信エリアの拡大(通信基地局を増設予定)


実証担当農家・産地より
○ 水位を事前に確認できるため水田に行かなくても良くなった。周りの生産者にも勧めている。
○ほ場によっては、通信エリア内でも通信が不安定な場所があるため、今後の改善に期待したい。