なしのジョイントV字トレリス栽培の導入による早期成園化と省力化

令和7年度 いわき農林事務所農業振興普及部

実証の背景・概要

○なしのジョイント栽培技術とは
神奈川県農業技術センターで開発された技術である「樹体ジョイント仕立て」とは、複数の樹の主枝部を連続的に接ぎ木により連結し、直線状の集合樹として仕立てる。これにより、密植した状態で早期に骨格枝の育成が完了し、樹冠の拡大も短期間に進むことから、成園化までの期間を短縮することができ、成園後の単位面積当たりの収量が慣行に比べて高くなる。
V字トレリス栽培は、従来の平棚ジョイント栽培に比べて低くし、側枝を斜立させることで作業動線や作業姿勢を改善でき、作業動線の直線化により作業性の向上を図ることができる。(図1)

 

想定する普及対象

○品目及び作型:日本なし
○生産者:規模拡大を検討する若手生産者やこれからなし栽培をはじめる新規就農者等

 

実証の概要

(1)背景・目的
○いわき地方のなし栽培は、高齢化による規模縮小や老木園による生産性の低下などの問題を抱えている。また、台風等により甚大な被害を受けた園地の早期復旧が課題となっている。
○なし栽培における生産性向上と省力化を実現するため、革新技術である「ジョイントV字トレリス栽培」の実証ほを設置し当該技術の速やかな普及を図り、所得向上と産地振興を推進する。

(2)方法
○4月から1月まで授粉、摘果、摘芯、収穫、せん定等の作業内容に分けて作業時間の聞き取り調査を行った。
○「豊水」「あきづき」「甘太」の収穫量を調査した。

(3)成果
○作業動線が直線状となり、摘果・収穫・せん定等の作業効率が向上し、実証ほでは作業時間が5割程度削減した。
○導入5年目に慣行栽培と同等かそれ以上の収穫量となり、慣行より3年早く成園化を達成できた。
R7は「豊水」: 2,355kg/10a、「あきづき」: 2,384kg/10a、「甘太」: 3,572kg/10a

4)産地への波及効果
○ジョイント平棚栽培は初年目のR2年に5a 、 R7には182aまで拡大した。V字トレリス栽培は、実証ほ以外での導入はないが、関心を示す生産者が多く、今後増える見込みがある。
○ジョイント栽培は現在9戸で取り組んでおり、今後12名まで増える見込み。

実証担当農家・産地より

○慣行栽培より省力化が可能なため、優良中晩生品種で実施し、園地の規模を拡大させていきたい(実証担当農家)。
○いわき地域では、新規栽培者を中心に導入面積が増える動きがある。