なしのジョイントV字トレリス栽培の導入による 早期成園化と省力化
実証の背景・概要
○ジョイントV字トレリス栽培とは
苗木を直線状に植栽し、主枝の先端を隣接する樹に接ぎ木し、連続的に連結する栽培方法をジョイント栽培という。
このジョイント栽培のうち、主枝の高さを下げて側枝を斜立させて樹冠をV字型にする樹形の栽培方法がジョイントV字トレリス栽培である。
従来のジョイント栽培と同様に、密植による早期成園化、作業動線の単純化による軽労化が図られる。また、樹冠をV字型にすることで、樹高が低くなり、作業姿勢が改善されるため、更なる省力化及び軽労化が図られる。

想定する普及対象
○品目:なし
○生産者:園地が老朽化している経営体、新たに栽培する経営体、規模拡大の意向がある経営体 など
実証の概要
(1)背景・目的
○なしは成園化するまでに10年程度かかるため、生産者の高齢化が進む相馬地域のなし産地では、積極的な改植が行われず、樹の老朽化による生産性や作業性の低下が進んでいる。
そのため、改植後の早期成園化、作業性の向上が求められている。改植が必要と思われる樹齢の「新高」が多いため、同時期に収穫が見込める「甘太」・「王秋」の導入を検討した。
(2)方法
○収穫前の着果量及び収穫果実の品質調査を行った。
○実証ほにおける栽培管理にかかる作業時間の調査を行った。
(3)成果
○定植2年目に初収穫となり、定植3年目には慣行樹形の「新高」の成園並の収量となった(図2)。所得は定植3年目にはプラスになり、定植4年目以降は安定して4,000kg/10a以上の収量となり、200万円以上の所得を得られている。
○定植3年目には、収量1tあたりの作業時間が3,850分(約64時間)となり、慣行樹形に比べて約14%削減することができた。
(4)産地への波及効果
○収量向上や省力化等の導入メリットが生産者に理解されることにより、老木園の改植が進み、生産性の向上が期待される。
○作業動線の単純化や作業の軽労化が図られるため、新規栽培者が導入しやすくなる。
○取組期間内に、面積は約79a、新規取組者数は4名増加した。


実証担当農家・産地からの評価
○作業動線の単純化により、作業の省力化を感じられた。
○結果枝が斜立していることにより、腕を上げて作業する時間が慣行栽培よりも圧倒的に少なくなり、労力が軽減できる樹形になっている。
前提条件
○想定の経営
労力 1名
栽培面積 なし 10 a
○実証ほの栽培
栽培面積 甘太 5 a
王秋 5 a
栽植様式 154 本 / 10 a
樹間:1.5 m × 列間:3.5 m
ジョイントV字トレリス栽培
○慣行栽培
栽培面積 新高 10 a
栽植様式 40 本 / 10 a
植栽距離 7 m × 7 m
主な導入コスト
○ジョイントV字トレリス栽培に必要な資材

技術導入のメリット
○慣行栽培(4本主枝平棚栽培)に比べて、労働時間が約20%削減され、省力化・軽
労化が図られる。
○新・改植から成園化までの期間が約5年に短縮され、収量が得られるまでの期間が短
い。
経営モデル


○経営モデルの補足説明

技術導入の注意点等
○技術の導入に当たっては、大苗の育成や確保が必要になる(樹間1.5mの場合は苗木長2.5m以上、樹間2.0mの場合は苗木長3.0m以上となり、植栽本数が減少するため減価償却費が減少する)ため、相双では大苗育苗マニュアルを作成・配布している。
○基部の強い枝を使用したり、結果枝を長く使用すると枝が発生しにくくなるため、導入初期の枝の配置や側枝更新を意識した栽培管理が重要である。福島県農業総合センター作成の「ナシのジョイント V 字樹形による早期成園化技術導入マニュアル」を参照として栽培を取り組むこと。