なしジョイントV字トレリス栽培導入による早期成園化と省力化

令和7年度 県北農林事務所農業振興普及部

実証の背景・概要

○なしジョイントV字トレリス栽培とは
神奈川県農業技術センターが開発したジョイント栽培を発展させ、主枝高を従来のジョイント栽培より低く、 70~80cmの高さとし、そこから側枝を仰角60°に斜立させ、架線に誘引することで樹冠を形成する樹形である。
慣行栽培は植栽本数が10a当たり40本程度だが、ジョイントV字トレリス栽培は10a当たり125本程度の密植で、早期成園化を目指す技術である。
作業は慣行栽培と比べ立体的であるため肩への負担が少ないものの、しゃがむ姿勢が多くなり、膝の負担が増える。新梢の更新が難しいため、長果枝を多用する幸水には向かず、短果枝栽培の品種に向く 。結果部位が慣行栽培よりも低く、樹形の霜害に遭いやすい。誘引作業に手間がかかる。25年後の改植時の作業が困難である。導入費が高い。

 

想定する普及対象

○品目及び作型:「新興」、「王秋」をはじめとする短果枝栽培の品種
○生産者:新たになしを栽培する生産者でかつ補助事業が受けられる者

 

実証の概要

(1)背景・目的
○福島市のなし産地は、樹の老木化による収量の減少や、担い手の減少が課題となっている。樹の老木化解消を図るには、新・改植が必要だが、成園化に時間がかかるため、進まない状況にある。また、なし生産には熟練した技術を必要とすることが、新規参入が進まない要因となっている。このため、早期成園化が可能な日本なしジョイントV字トレリス栽培を普及し、当地域のなし産地の維持を目指すこととした。

(2)方法
○ジョイントV字トレリス栽培(樹間1.5m×列間3.0m、主枝の高さ80cm)、面積10a、植栽品種「幸水」「豊水」
○調査対象品種「幸水」、 1果重と10a収量を調査した。

(3)成果
○ ジョイントV字トレリス栽培10aあたり収量(計算値)は令和5年3.2t、令和6年3.5t、令和7年1.8tなった。慣行栽培成木は令和5年3.5t、令和6年3.9t、令和7年3.1tとなり、令和7年はジョイントV字トレリス栽培が慣行栽培の58%となり、いずれの年も慣行栽培には及ばないものの、早期成園化としては良好な状態だった。
○通常のジョイント栽培とジョイントトレリス栽培は同じ早期成園技術であるため、初期投資が相対的に安く、慣行に準じた栽培技術で栽培できる通常のジョイント栽培の方が導入しやすくなっている。

4)産地への波及効果
○通常のジョイント栽培が見直されている。ジョイントトレリス栽培は、経済面でのハードルが高く、普及には何らかの支援が必要。

図1. 「幸水」:10a収量の年次推移

実証担当農家・産地より

○雇用をしているが樹の流れが単純で、収穫作業は楽と雇用者から言われている。整枝せん定作業は棚でないため枝の固定が難しい。(実証担当農家)
○県北地域では、新規就農者が補助事業で導入する希望があるが、一般の生産者は経費の関係から、通常のジョイント栽培を選んでいる。