アスパラガスにおける雨水を活用した日射制御型自動かん水システム導入による安定生産
実証の背景・概要
(1) 背景
○ 現状アスパラガスは南会津地方の主要な園芸品目であるが、廃作による作付面積の減少や茎枯病の多発による単収の低下によって生産量が減少している。茎枯病を抑制するために施設化を推進しているが、水源や電源がなく、施設化ができないほ場も多く見られる。そのため、水源や電源のないほ場でも安定的にアスパラガスを生産する技術導入が急務である。
○改善方向日射制御型自動かん水システムの導入により、無電源、無水源地域等での施設化を推進し、南会津地方におけるアスパラガスの生産力強化を目指す。
(2)実証の概要
○導入機材及び面積
・パイプハウス1a(5.4m×19.8m)
・品種:パープルタワー・定植:令和3年6月
・日射制御型自動かん水システム(ソーラーパルサーE)
・雨どい(ハウスサイド2本、妻面1本計45m)、貯水槽3,800L
○技術の概要
ハウスの周囲に設置した雨どいにより雨水を貯水槽に確保するとともに、日射制御型自動かん水システムにより自動的にかん水を行う。

図1 実証ほ設置状況
実証の成果
(1)成果
○茎枯病の発生は、実証区が施設化したことにより、対照区に比べ約40%少なかった(令和5年データ省略)。
○かん水に要する実証区の労働時間は、自動かん水システムを導入したことで、慣行のかん水方法(※)に比べ、12.3%と少なかった。(県経営指標より算出)
○収量は、実証区が対照区に比べ多収となった(表1)。これは、実証区で施設化や定期的なかん水を実施したことにより、肥料の流亡が少なく、土壌水分が高く推移したためと考えられる。また、茎枯病の発生が少なかったことも一因と考えられる。(※エンジン式かん水ポンプによる)
(2)課題
○令和5年7月下旬から9月下旬のアメダス田島の降水量は、平年比60%で、1日あたりのかん水量に換算すると約40L/10aであった。かん水が最も必要とされる高温期としてはかなり少なく、(1日あたり、約3000L/10aのかん水が必要)十分なかん水が行えなかった。また、同期間の気温は、平年に比べ2.4℃高く、日照時間は平年比141%と長く、高温乾燥となったことで、若茎に奇形や開きが多く発生した(表2)。これらのことから、雨水の利用ではなく、安定的な水源の確保が必要である。
(3)産地への波及効果
○自動かん水等の導入は必要であるが、安定的な水量の確保ができないシステムであるため、生産者の心は低い。
(4)今後の対応
○アスパラガスの安定生産にはかん水設備の導入は必要であるが、当該かん水システムは、十分な水量が確保できないことから、安定的な水源や電源が確保できるほ場での作付けを推進する。

実証担当農家・産地より
○実証ほ設置当初は、栽培管理が遅れ病害が多発してしまったが、施設化したことにより、2年目以降は、病害の発生を軽減することができた。(実証ほ担当農家より)
○高温期のかん水実施や日射量によってかん水量の調整ができることは一定の評価ができるが、安定した水量が確保できないことから、普及拡大は難しい。(JA生産部会)