夏秋キュウリにおけるICTを活用した環境測定とミスト冷房による高温対策実証ほ
実証の背景・概要
(1) 背景
○ 現状:近年、高温、乾燥といった異常気象に伴う農作物の収量・品質の低下が問題となっている。また、会津坂下地域は、夏秋きゅうりの産地であり、新規栽培者も毎年一定数確保されているが、盛夏期における施設内の高温対策と新規栽培者の早期技術習得が目下の課題となっている。
○改善方向:本事業において、ICTを活用した環境モニタリングとミスト噴霧を組み合わせた夏秋野菜栽培での高温対策と効率的な技術継承のためのモデルとなる実証ほを設置し、産地全体の農産物の安定出荷及び栽培技術の高位平準化を目指す。
(2)実証の概要
○ 導入機材及び面積
導入機材:ウルトラエースM(環境測定装置)、クールネットプロ(ミスト噴霧器)、Do Valve(自動散水タイマー)
面積:7.2a ほ場1:会津美里町3.7a(定植日:令和4年7月7日/令和5年6月16日)
ほ場2:会津坂下町3.5a(定植日:令和4年7月20日/令和5年7月19日)
○ 技術の概要:クールネットプロを設置し、ミスト(細霧)冷房を行うことにより、夏場の高温時におけるハウス内温度を低下させ、草勢の維持を図り、収量を向上させる。

図1 ミスト設置ほ場
実証の成果
(1)成果
○ハウス内の温度が最大3℃ 程度低下し(図2)、湿度上昇により飽差も改善された。
○主枝上段の芯焼け・葉焼け被害が対照区より軽度に抑えられた。
○高温期でも草勢維持できたことにより、8月の収量については、ミスト区で増加した(図3)。
〇令和5年度にミストの設置位置を変更し、アーチとの距離を確保した結果、ミスト散布による病害発生の増加は見られなかった。ほ場1では、ミスト噴霧期間中、病害虫の発生程度が対照区と比較して少なく、特にうどんこ病の発生はみられなかった(図4)。
(2)課題
〇ミスト噴霧により草勢が維持され、高温期の収量が確保されたが、高温期以降の草勢に対応する肥培管理等の検討が必要である。
〇高温対策以外のメリットを検証する必要がある。
〇ミスト噴霧による環境測定装置のセンサーの故障リスクが大きく、定期メンテナンスが必要である。
(3)産地への波及効果
○高温期の草勢の維持・安定により、草勢の維持が見込まれ、収量の確保が図られる。
(4)次年度の対応
○管内生産者を参集した実証ほ検討会の開催により結果の周知に取り組む。

図2 ほ場1 晴天日の温度推移
(10時~14時の間20秒、5分間隔で噴霧)

図3 ほ場1R5年月別単収

図4 ほ場1R5年度ミスト噴霧期間の病害発生経過
実証担当農家・産地より
〇令和5年度は葉焼けの発生が少なく、よりミストの効果を実感した。作業者もハウス内の涼しさを実感でき、植物体も葉が立ち上がり、整枝管理作業がしやすいとの意見があった。(担当実証農家より)
〇管内の生産者からは、農薬散布も併用できると省力化が図れてより魅力を感じるとの意見があった。